総合カタログ
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● バックラッシュが過大1. 予圧なし又は不充分:(2) 不適切な設計:過大な細長比:細長比が小さいほど、ねじ軸の剛性は大きくなります。通常、細長比は60以下にしてください(表4.7参照)。(2) ベアリング端面やベアリングロックナットのねじ軸の小ねじに対する直角度またはロックナットの平行度が許容限度を近年、ボールねじは高精度化、高性能化により、各種機械に使用されるようになり、今や最も広く用いられる動力伝達機構の一つとなっています。CNC機械ではボールねじは位置決め精度を高め、機械の寿命を延ばす助けになっています。ボールねじは、手動機械に用いられているACMEねじ(台形ねじ)にも次第に取り代わりつつあります。ボールねじは通常機械の運動時のバックラッシュを最小にする為に予圧が与えられます。いくら高精度なボールねじを使用しても、それが正しく設置されなければ高い精度と長い寿命は望むことができません。この章は頻繁に発生するボールねじの問題とその予防対策を考察するものです。またユーザが異常なバックラッシュの原因を探ることの一助となる測定手順も考慮しています。9.1.2 ボールねじのトラブルの原因と予防対策ボールねじのトラブルとその予防対策は次の3つのカテゴリについて考察されます。予圧を与えられていないボールねじは、ねじ軸を垂直にするとナットの自重で落下します。この様に予圧のないボールねじユニットには大きなすきまが発生します。従って予圧を与えられていないボールねじは位置決め精度を高めることより、運転抵抗を下げることの方が重視される機械に使用することが望ましいです。HIWIN は各種の用途に応じて適正量の予圧を与えることが出来ます。ボールねじユニットの発注時には運転条件を必ずご提示頂きたい理由です。片持ち支持:図A.1の様に、片持ち支持もできる限り避けてください。ボールねじの固定には、アンギュラコンタクトベアリングを使用すべきです。ボールねじには特殊設計の圧力角の大きいボールベアリングの方が最適です。普通の深溝形ボールベアリングは、軸方向荷重を受けた時に大きく軸方向の遊びを作り出します。したがってボールねじ固定側支持ベアリングには使用すべきではありません。ナット取付けハウジング又はベアリング取付けハウジングの剛性が乏しい場合には機械本体の重量又は機械加工時の加工抵抗で歪むことがあります。図A.4に示されるように、ナットを取付けるハウジングの剛性を点検したり、ベアリング取付ハウジングの剛性を点検することが必要です。2. ねじれ変位が過大:(1) 熱処理不良、焼入れ深さ不充分、硬度分布の不均一、硬度不良がある場合にも発生します。鋼球、ボールナット、およびねじ軸の標準硬度はそれぞれHRC 62~66,58~62,および 58~62 です。3. ベアリングの選択が不適切:4. ベアリングの設置が不適切:(1) ベアリングがねじ軸に正しく取付けられていない時には、荷重の作用時に軸方向の遊びが生じます。この問題の原因は、5. ナットハウジング、又はベアリングハウジングの剛性が不足:ねじ部分が長すぎるか、またはベアリング支持部長さが短かすぎることによります。越えれば、ベアリングが傾きます。図A.1:ボールねじの片持ち支持359.1 ボールねじのトラブルに対する分析法9.1.1 はしがき

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